
今回はナンピンに関して知っておきたい基礎知識と、ナンピンを行うときに大切な資金管理について紹介していきます。
目次
ナンピンのやり方は?
ナンピンのやり方はシンプルなもので、決して難しくありません。例えば、ある時点でこれから相場が上昇すると予想するとしましょう。
しかし、いつ上昇するのか判断が難しいことがあります。すぐに上昇することもあれば、上昇するのに時間がかかってしまうこともあるでしょう。
場合によっては、一度下落してから上昇するかもしれません。そんなときに、とりあえず買いでエントリーを行っておけば、そのまま上昇すれば利益が得られ、一度下落しても買い増しを行うことで最終的な利益に下落分を加えることができます。
ナンピンのメリット・デメリット
どんな手法でもそうですが、ナンピンにもメリットとデメリットがあります。両方を押さえておけば、ナンピンの特徴をつかみやすくなるでしょう。
ナンピンのメリット
ナンピンのメリットは以下の通りです。もっとも特徴的なのはエントリーが甘くても何とかなるということでしょう。相場の大まかな流れが掴めてさえいれば、細かいボラティリティを気にしなくてもよいということがナンピン最大のメリットと言えます。
メリットは以下の通りです。
- 損切の回数を極力少なくできる
- エントリーの精度が低くても大丈夫
- 予想と反対に動いても、投入できる資金があるので安心
- エントリーしたときの平均単価を下げることができる
ナンピンのデメリット
一方でナンピンのデメリットは、損失が大きくなるということです。予想と反対方向に動いたとき、ナンピンを何度行っても一向に予想通りの方向に値動きしない場合があります。
そのようなときは、最終的にロスカットするしかないのですが、エントリーを繰り返すナンピンでは、損失が大きくなりがちです。
デメリットは以下の通りです。
- 予想と反対に向かって一直線に動いたら大きな損失を出してしまう
- 取引あたりの損失が大きくなってしまう
このようなリスクを減らすため、ナンピンでは資金管理がとても重要になります。
ナンピンで重要になる資金管理
FXで資金管理はリスクをコントロールするために欠かせないものです。投資の世界では、退場することなく、いかに長く投資を続けられるかが成功のカギとなります。
そうした意味でいえば、ナンピンを使う上でも資金管理はとても大切になります。
通常の取引よりも小ロットで取引を行う
ナンピンは、何度かに分けてエントリーを行うことになるため、通常の取引よりもエントリー一度あたりのロット数は小さくしなければなりません。
例えば、10ロットの取引を行いたいと考えている場合、ナンピンを行うときは10ロット未満でエントリーを行います。
2回に分けてエントリーを考えているのであれば、5ロットに分けて取引、3回に分けてエントリーを考えているのであれば、3ロットずつなどに分割する必要があります。
もしも、予想と反対方向に動いたとき、最初にエントリーのロット数が小さいほど、含み損を小さくすることができます。
含み損と初回ロット数の関係は以下の表のようになります。
※前提となる条件⇒1ドル111円にて買いで初回エントリー、1ドル110.5円で2回目エントリー、その後110円まで下落して3回目のエントリーを考えているとする。
初回⇒2回目 | 含み損 |
---|---|
初回ロット数 9⇒2回目ロット数1 | 9万5000円 |
初回ロット数 6⇒2回目ロット数3 | 7万5000円 |
初回ロット数 3⇒2回目ロット数6 | 6万円 |
初回ロット数 1⇒2回目ロット数3 | 2万5000円 |
3回目のエントリーを検討しているときの含み損は、初回および2回目のロット数によってかなり違うということが確認できます。
ナンピンを行うときにロット数をどのように分けるのか、判断はとても難しいところです。テクニカル分析やファンダメンタルズ分析から戦略を練るしかないでしょう。
- すぐに上昇する可能性が高いとき⇒初回のロット数を多めに
- いったん下落してから上昇する可能性が高いとき⇒初回のロット数は少なめに
- 判断をつけるのが何とも難しいとき⇒初回ロット数はほどほどに
このように、相場判断によって初回ロット数、2回目以降のロット数を決めるしかありません。
また、2回目以降では、相場のリアルタイムの様子から、ロット数を柔軟に決定する必要があるでしょう。
途中で損切りすることも大切
相場はリアルタイムで変化するため、途中でナンピンが上手くいかないと判断したら、ためらわずに損切りしましょう。
いずれ反転すると思ってナンピンを繰り返したとしても、一向に相場が反転しないことはFXの世界ではよくあることです。
その場合、含み損が膨らみ泥沼状態に陥ってしまう可能性が高くなります。最悪の事態にならないためにも、早急な決断が必要になることもあります。
ナンピンを行う回数を制限する
ナンピンの回数を制限することで、無限にナンピンを繰り返してしまう失敗を防ぐことができます。
ある程度の回数を決めておけば、その回数以上のナンピンを行うことができないので、リスク管理をしやすくなります。
ポジションを持つことに対して諦めがつきやすくなるので、損切りの決断がしやすいのもメリットと言えるでしょう。
理想を言えば、回数を制限せず、そのときの状況判断でナンピンを続けるのか止めるのかを判断するのがベストです。
しかし、状況判断に自信のない初心者は、回数を制限しておけば少しでもリスクを小さくすることができるはずです。
無限ナンピンは止めておくことが賢明
エントリー一度あたりが少額であればリスクが小さくできることは確かです。だからといって、無限にナンピンを繰り返してもよいものでしょうか。
おそらく多くのトレーダーは「止めておいた方が無難」と答えるはずです。FXというのは、同じ方向に長期間値動きすることが多い特徴があります。
この特徴から「FXでは順張りを行うことが鉄則」と言われます。含み損が出てしまっているとき、ある意味逆張りのようなトレードを行わなければならないのがナンピンです。
状況次第では、非常に危険なトレード手法と化してしまうのがナンピンなのです。
マーチンゲール法は有効か?
カジノやギャンブルの世界ではマーチンゲール法という手法が有名です。これをFXにも応用しようという人が多くいます。こちらも無限ナンピンと基本的には同じ手法として考えてよいでしょう。
マーチンゲール手法を簡単に説明すると、「勝つまで負けない手法」です。理屈は非常に単純なもので、最初の掛けで1万円負けたら次は2万円。それでも負けたら4万円というように、掛け金を2倍に増やしていく手法です。
例えば2回目で勝ったとき、どうなるかというと以下の通りです。
1回目負ける⇒マイナス1万円
2回目勝つ⇒プラス2万円(累計プラス1万円)
合計で1万円の利益を出せたことになります。次に3回目で勝ったときはどうなるか見てみましょう。
1回目負ける⇒マイナス1万円
2回目負ける⇒マイナス2万円(累計マイナス3万円)
3回目勝つ⇒プラス4万円(累計プラス1万円)
この条件の下では、何度負けてもいずれ勝てば、1回目に投資した金額が必ず利益として計上できることになります。
これをFXに応用する場合でも、基本的な方法は同じです。仮に含み損が出たら、次には2倍の金額でエントリーしていきます。
FXでは、いくらトレンドが続きやすいとは言え、いずれトレンドの転換や調整が起こることがほとんどです。そうした意味ではマーチンゲール手法は有効となり得ます。
しかし、期待値で考えたとき、やる価値があるのかは微妙なところと言えるでしょう。非常に小さな可能性とは言え、大損失を出してしまう一方、利益はごくわずかなものです。
資金管理という面では、あまりお勧めできない手法です。
まとめ
今回はナンピンについて、資金管理面を中心に解説を行いました。ナンピンを行う場合でも、勝つためには状況判断がカギになります。
マーチンゲール手法など、ドカンと大きな損失が出てしまうナンピンは避け、適度な金額と回数でナンピンを行うことをおススメします。