
通貨には数多くの種類があり、どれを取引すればよいのか迷う人が多いようです。ただ、通貨ペアにはメジャーなものとマイナーなものがあり、特別なこだわりがなければ前者を選ぶ人がほとんどです。
目次
無難なのはメジャー通貨ペア
ドル円などのメジャーな通貨が無難と言われており、特に初心者にはおススメです。まずはメジャー通貨ペアについて、どんな特徴やメリットがあるのかチェックしておきましょう。
メジャーな通貨ペアとは?
メジャー通貨ペアとは、主に日本円、ユーロ、米ドルを組み合わせた通貨ペアのことを意味します。
これらの通貨を含む通貨ペアは取引量がとても多く、世界中さまざまな投資家がトレードを行っています。
取引量が多いということが意味するのは、マーケットの安定感があるということです。急にレートが飛んだりすることはまれで、規則的な値動きをすることが多くなります。
こうしたことから、初心者はもちろん、ベテラントレーダーもメジャー通貨を好んで取引する人が多い傾向にあります。
メジャー通貨ペアの魅力はスプレッドの狭さ
取引量が多く市場が安定していることに加えて、もう一つメジャー通貨ペアには大きなメリットがあります。
それはスプレッドの狭さです。メジャー通貨ペアでは、マイナー通貨ペアに比べてスプレッドがかなり狭い傾向にあります。実際に比較してみましょう。
メジャー通貨ペア | スプレッド(pips) |
---|---|
米ドル/円 | 0.2 |
ユーロ/円 | 0.5 |
ユーロ/米ドル | 0.4 |
マイナー通貨ペア | スプレッド(pips) |
ニュージーランドドル/円 | 1.2 |
ユーロ/スイスフラン | 1.8 |
ポンド/スイスフラン | 2.8 |
もっともスプレッドの狭い通貨ペアがドル/円の0.2pipsで、ユーロ/円やユーロ/ドルもスプレッドが0.5pips以内に収まっています。
一方でマイナー通貨ペアのスプレッドを見ると、どれも1pipsを超えています。ポンド/スイスフランに関しては2.8 pipsとなっており、ドル円の14倍ものスプレッド広さがあります。
説明するまでもなく、スプレッドはトレード時のコストになります。色んな通貨ペアのスプレッドをチェックすれば、いかにメジャー通貨ペアの取引コストが安いのかが分かると思います。
特にスキャルピングやデイトレードなどの短期売買では、スプレッドの狭さがとても大切になります。
難易度が低いのはメジャー通貨ペア
ここまで解説したことから、FXトレードの難易度が低いのはメジャーな通貨ペアと言えるでしょう。
- 流動性が高くて値動きが安定している
- スプレッドが狭くて取引コストがかからない
こうしたこと加えて、メジャー通貨には情報量が多いというメリットがあります。日本国内はもちろん、アメリカ、ヨーロッパの経済情勢、経済指標の予想や分析がしやすく、書籍やインターネット上には多くの専門家の意見が掲載されています。
あらゆる面から総合的に考えても、難易度が低いのはやはりメジャーな通貨と言えます。
マイナー通貨ペアがおすすめのケース
ここまで説明したように、基本的にはメジャー通貨がおすすめです。というのも、FXで利益を上げようとするとき、多くのトレーダーが売買差益を狙うからです。売買差益では、為替レートの動きや取引にかかるコストがとても大事になります。
スワップポイントを狙うのであればマイナーな通貨ペアがおすすめ
一方で、FXはスワップポイントによる利益を狙うことも可能です。スワップポイントとは、通貨の金利差から発生する受取額と支払額の差のことです。
金利の低い通貨を売却して、金利の高い通貨を購入すれば、「支払額<受取額」となって毎日スワップポイントを受け取ることができます。
スワップポイントは通貨ペアによって大きく異なります。
通貨ペア | 売りスワップ | 買いスワップ |
---|---|---|
米ドル/円 | -63 | 61 |
ユーロ/円 | 6 | -7 |
ユーロ/米ドル | 63 | -66 |
ポンド/円 | -42 | 39 |
メキシコペソ/円 | -110 | 100 |
南アフリカランド/円 | -100 | 100 |
ユーロ/スイスフラン | -7 | 4 |
※2020年2月25日現在のGMOクリック証券のスワップポイント
この表を見て特徴的なのは、メキシコペソ円や南アフリカランド円のスワップポイントの高さです。
これらの通貨ペアは、ドル円などのメジャー通貨に比べると、スワップポイントが高い水準にあります。
ただし、マイナーな通貨はスワップポイントが必ずしも高いわけではありません。ユーロ/スイスフランのスワップポイントはわずかなものです。
つまり、次のことが言えます。
- 全体の通貨ペアを見たとき、スワップポイントの水準はさまざま
- マイナー通貨は数が多いので、中にはスワップポイントが極端に高いものがある
スワップポイントを狙うのであれば、積極的にマイナー通貨をトレードしましょう。
難易度の高い通貨ペアは?
ここまで説明したことを一度整理してみましょう。
- メジャー通貨ペアは、安定感があって、スプレッドも狭いので初心者にもおすすめできる。
- スワップポイントを狙うのであれば、南アフリカランドやメキシコペソなどのマイナーな通貨ペアがおすすめ。
ここからは、トレードするには難易度の高い通貨ペアを紹介していきます。特に初心者の方はこれらの通貨ペアの取引はしない方がよいでしょう。
難易度の高い通貨ペア① ポンド円・ポンドドル
ポンドの取引量は、ドル、ユーロ、日本円に次いで多くなっています。しかし、ポンドの値動きは急なもので、ボラティリティの高さが目立ちます。
ボラティリティが高いゆえに、投機対象としては人気の高い通貨でもあります。日本国内では短期的な売買差益を狙ってポンド円をトレードする人が多く見られます。
ただし、難易度という点では高く、特に初心者やポンド円に初めて挑戦するという人は、その独特の値動きに困惑してしまうことも少なくありません。
また、スプレッドもメジャー通貨に比べると高くなっていて、国内FX業者であれば1.0 pipsに設定されている場合が多くなっています。
難易度の高い通貨ペア② トルコリラ/円
トルコリラ/円などの新興国通貨は避けた方が無難です。こうした通貨は流通量が少ないため、社会情勢の変化によって急激な為替レートの変化が起こります。
スワップポイントの高さは魅力的なので、どうしても取引したい場合はエントリー時にロスカット注文を入れておきましょう。
ただし、ロスカット注文や資金管理など、しっかりとしたリスク管理ができるようになるまではトレードしない方が無難と言えます。
ドルストレートは難易度が低い
前述したように、メジャー通貨同士のペアを選ぶのはとても有効な手法です。その一方で、メジャー通貨でなくても、比較的流通量の多い通貨ペアを簡単に選ぶ方法があります。
それは米ドルを含む通貨ペア、「ドルストレート」を選択するということです。その理由は3つ挙げられます。
ドルストレートの取引量は圧倒的
世界の取引量を見たとき、ドルを含む通貨ペアのシェアは圧倒的です。このことを取引量ランキングを見て確かめてみましょう。
取引量ランキング | 通貨ペア | シェア |
---|---|---|
1位 | ユーロ/米ドル | 24% |
2位 | 米ドル/日本円 | 13.2% |
3位 | ポンド/米ドル | 9.6% |
4位 | 豪ドル/米ドル | 5.4% |
5位 | 米ドル/カナダドル | 4.4% |
6位 | 米ドル/人民元 | 4.1% |
7位 | 米ドル/スイスフラン | 3.5% |
8位 | 米ドル/香港ドル | 3.3% |
9位 | ユーロ/ポンド | 2.0% |
10位 | 米ドル/韓国ウォン | 1.9% |
※2019年 国際決済銀行の調査データ
動きがなめらか
ドルストレートの値動きはなめらかなのが特徴です。急なフリクションはあまり見られないので、テクニカル分析がしやすいのも良いところです。
米ドルの影響が大きいので分析しやすい
ドルストレートの通貨ペアであれば、米ドルに関連する情報収集を中心に行っておけばOKです。
これがユーロ円の場合であれば、ユーロと日本円、さらに基軸通貨の米ドルまでチェックしておかなければなりません。分析のしやすさという点でもドルストレートはおすすめです。