
FXトレードを行うとき、もっとも気になるのがリスクでしょう。1日で1,000万円という損失を出してしまったということが話題になったこともあり、FXには怖いイメージを持っている人も多いようです。
FXにつきまとう怖いイメージというのは、決して見当違いというわけではありません。FXでは大金をつぎ込まなくても大きな損失を出してしまい、借金を背負ってしまうことがあるのです。
目次
追証という大きなリスク
FXでは追加証拠金(追証)という大きなリスクが潜んでいます。FXでは証拠金を預け入れることで、いわば資金を借りる形で為替取引を行います。
ところが損失があまりにも大きくなってしまったら、その証拠金がマイナスになり、マイナス分をFX業者に支払わなければならないことがあります。FX業者に支払うマイナスの金額は追加証拠金と呼ばれます。
強制ロスカットが発動されないリスク
証拠金がマイナスになってしまうという投資家のリスクを軽減するため、どのFX業者も強制ロスカットというシステムが用意されています。
証拠金維持率が50%になったら保有している建玉を決済するなど、各FX業者が定める水準を割ったら損失が確定します。
一見安心と思われるかも知れませんが、強制ロスカットは必ずしも引っかかるわけではないというリスクが潜んでいるのです。
強制ロスカットが引っ掛からない局面というのは、リーマンショックやスイスフランショックなど、1年に1度起こるか起こらないかという相場急変時です。
可能性は小さいですが、発生すれば大きな損失を抱えてしまうということで、非常に大きなリスクがあると言わざるをえないでしょう。
追証をカバーしてくれるゼロカットシステムとは?
発生した追証をカバーしてくれるのがゼロカットシステムです。ゼロカットシステムがあれば、証拠金のマイナス分を補填してくれます。
借金を背負う可能性は完全にゼロになるので、投資家にとってはありがたいシステムと言えます。
海外FXではゼロカットシステムが採用
海外FX会社ではゼロカットシステムが導入されています。ゼロカットシステムがあるから海外FX会社を選ぶという人もいるくらい、海外FX会社を利用するときの大きなメリットとなっています。
海外FX業者では、FX業者の負担が大きくなるものの、ゼロカットシステムがきちんと採用されています。
また、海外FX業者ではレバレッジが高く設定されていることが多く、数百倍のレバレッジは普通で、FX業者によっては1,000倍以上のレバレッジをかけることができます。ハイリスクハイリターンのトレードも安心して行えるというわけです。
ただし、ゼロカットシステムが発動されたときは、FX業者側の負担になるため、国内業者に比べるとスプレッドは広く設定されています。
国内FX業者ではゼロカットシステムはなし
安心のゼロカットシステムですが、残念ながらほとんどの国内FX業者ではこのシステムが採用されていません。その一方で、国内FXのスプレッドは狭くなっています。
国内FX業者も海外FX業者も良し悪しがあるというわけです。国内FX業者でゼロカットシステムが採用されない理由は以下の通りです。
理由① FX業者の利益が小さくなってしまう
ゼロカットシステムが発動したとき、追証分を補填するのはFX業者です。場合によっては、数千万円という大金を顧客に提供しなければならないのでFX業者の利益が小さくなってしまいます。
そのため、海外FX業者のように取引手数料を導入したり、スプレッドの幅を広げたりする対処が必要になるでしょう。
理由② 金融商品取引法の規定
日本の法律にある金融商品取引法第四十条の第二号で、ロスカットが間に合わずに口座残高がマイナスになっても補填してはいけないという内容の記載があります。
もしこの法律が無ければ、他のFX業者と差別化を図るためにゼロカットシステムを導入するFX業者が出ていたでしょう。法律があるために、利用者を守ることのできるゼロカットを導入できないのは何とも残念なものです。
ゼロカットシステムが無いことのメリットやデメリット
次にゼロカットシステムがないとどのようなメリットやデメリットがあるのか確認していきましょう。
メリット①リスクマネジメントが慎重になる
追証が発生して場合によっては借金を抱えてしまう可能性があると、自然と投入資金を抑えようとします。
ついつい大金をつぎ込んでしまう人にとっては、追証ありの事実が恐怖となり、大金をつぎ込むことのストッパーとなってくれるでしょう。
損失を抑えようとする心理が働き、結果としてリスク管理が上達するはずです。
デメリット① 借金を抱えてしまう
これは先ほども説明しましたが、ゼロカットシステムが無いということは、常に借金を抱えてしまうリスクを抱えている状態であると言えます。
追証が発生したら、必ずFX会社から料金を請求されることになります。これを無視していると、最終的に法的措置を取られてしまうことがあります。
借金を抱えてしまうと、債務整理をする以外に逃れる術はありません。
デメリット② プレッシャーが大きい
口座に入れた資金以上の損失を抱えてしまう可能性があるというのは、非常にプレッシャーのかかることです。
可能性はわずかとはいっても、自分の生活に支障をきたしてしまう可能性を排除できないというのは、精神衛生上良くないことと言えるでしょう。
デメリット③ 中長期トレードで特にリスクが高くなる
スイングトレードやポジショントレードなどの中長期投資では、数日から数週間、場合によっては数か月間ポジションを保有し続けることになります。
それだけに、ポジション保有中にリーマンショック級の相場変動に直面するリスクが高くなってしまいます。
利用するのは国内FX業者か海外FX業者か?
ゼロカットシステムが無い国内FX業者と海外FX業者、どちらを選択すれば良いのでしょうか。
国内FX業者と海外FX業者について、ゼロカットシステムとスプレッドの関係性を表にまとめてみました。
ゼロカットシステム | スプレッド | |
国内FX業者 | なし | 狭い |
海外FX業者 | あり | 広い |
中長期投資ならば海外FX業者
前述のようにスイングトレードやポジショントレードでは、追証発生のリスクが高くなります。そのリスクを排除するのであれば、海外FX業者を利用するしかありません。
海外FX業者のスプレッドが広いことは確かですが、中長期投資で気になるほど極端にスプレッドが広いわけではありません。
各FX業者のスプレッドは以下の通りです。
ドル/円 | ユーロ/円 | ユーロ/ドル | |
GEMFOREX(No Spread) | 0.3 | 0.5 | 0.3 |
XM(Zero) | 1.1 | 1.6 | 1.1 |
LAND-FX(ECN) | 1.0 | 1.3 | 0.8 |
Titan FX | 1.03 | 1.44 | 0.9 |
GMOクリック証券 | 0.2 | 0.5 | 0.4 |
DMM FX | 0.2 | 0.5 | 0.4 |
SBI FX | 0.17 | 0.49 | 0.38 |
※海外FX業者のスプレッドには取引手数料を含む
短期トレードならば国内FX業者
追証のリスクが小さくなる短期トレードであれば、国内FX業者を使っても比較的安心と言えます。相場が荒れているときや政治情勢などの心配がある場合、トレードしないことによってリスクを最小限にとどめることができます。
またスプレッドの狭さが重要になる短期トレードでは、国内FX業者の方が向いているでしょう。海外FX業者で国内業者並みの低スプレッドを実現しているのはGEMFOREXだけです。
まとめ
安心安全なトレードを行うためには、ゼロカットシステムが欠かせません。そういう意味では、たくさんの海外FX業者がある中、国内FX業者を利用するというのはある意味リスキーな選択と言えるかもしれません。