FXでおこなわれるナンピンは逆張り戦術のこと

FXトレードではさまざまな戦術があり、その中の1つに「ナンピン」があります。

ナンピンはカタカナで記載されるケースが多いですが、漢字で書くと「難平」です。

漢字が示すとおり、取引中に発生した損失などの「災難」を「平(たいら)」にするという言葉から来ています。

言葉として知っている人はいるかもしれませんが、投資のセオリーから外れる手法を取る必要があることから、実際に行なっているという人はあまり多くありません。

そのためあまり評価されないこともあるのですがが、利用者があまりいないという相手の裏をつく戦術にもなるため、適切に行えば安定した利益を得ることも可能な戦術なのです。

今回はナンピンの特徴とメリット・デメリットについて見てきましょう。

ナンピンは逆張り戦術のこと

ナンピンとは逆張りをするトレードのことです。

FXに限らず商取引においては「価格が安いときに仕入れて、高くなった売る」が基本です。そのためFXの教科書などでも「購入したときよりも価格が下がってしまったら、損切りとして約定する」というのがセオリーとされています。

しかし、ナンピンは違います。約定したときよりも価格が下がったら、さらに買い増すことで約定価格を下げようとするのが、ナンピンの大きな特徴です。

たとえば、ある通貨が100円の時に購入したとしましょう。その通貨が90円になったら10円損したことになるのですが、売ることなくさらに通貨を入手します。すると所有している通貨の平均価格が95円((100+90)÷2=95)となるため、価格が下がって損失が軽減されます。

このナンピンは買いポジションだけでなく売りポジションの場合も同じです。

売りポジションは買いポジションと異なり通貨の価格が下がるほど利益が得られる反面、価格が上がるほど損失が大きくなってしまいます。そのため、ポジションを保持した時よりも価格が下がったら約定して損切りを行うのですが、ナンピンをする場合はあえて売りポジションを追加することで、含み損を軽減しようとします。

逆張りするナンピンのメリット

逆張りをするナンピンのメリットは、「長期的な戦術が取れる」ことです。

損失はいつまでも抱えているわけにはいかず、損失が大きくなったらどこかで約定して仕切りなおす必要があります。

FX業者によってはロスカットという仕組みによって強制的に約定するようにしています。

逆張りのナンピンは、損失が発生したらさらにポジションを増やすことによって損失を軽減するのが特徴です。損失を軽減するので取引を終了させることなく継続させられ、長期的な戦術が取れます。

相場には良い時と悪い時があり、どちらかが永久的に続くことはまずありません。どこかで必ず状況が反転するので、反転するタイミングまで粘り強く持ちこたえ、状況が好転したら一気に約定して多大な利益を得るようにします。そうした大逆転がナンピンの魅力といえるでしょう。

ナンピンのメリット2つ目は、「スワップポイントを得やすい」という点です。

スワップポイントとは、通貨の金利差によって得られるポイントのことです。たとえば金利が1.7%の通貨を購入して、0.1%の通貨を売却した場合、+1.6%(1.7 - 0.1)なので何もしなくても1.6%のスワップポイントを得られることになります。

スワップポイントはポジションを維持している日数が長くなるほど、得られるポイントも雪だるま式に増えてるのが特徴で、そのためスワップポイント狙いでFXを行う場合には長期運用が前提となります。

逆張りをするナンピンは、スワップポイントを得るための方法としてかなり相性がよく、スワップポイント狙いでナンピンを選ぶという人も少なくありません。

ただし、スワップポイントはプラスだけでなくマイナスの場合もあります。

手違いでマイナスのスワップポイントになっている通貨ペアを保有して、ナンピンで長期運用すると逆に損失が大きくなってしまいます。

逆張りするナンピンのデメリット

逆張り戦術であるナンピンにも「損失が大きくなってしまう」というデメリットがあります。

ナンピンは、現在所有しているポジションで損失が出たら、ポジションを追加して損失の緩和を行ないます。こうした逆張り戦術をおこなう目的は「あとで価格が反転したときに約定して利益を得る」ことに他なりません。つまりナンピンをすることは「どこかで状況が好転するだろう」という希望的観測を前提としています。

通貨価値がいつまでも下がり続ける、あるいは上がり続けることはないので、ナンピン自体は理にかなった戦術です。

しかし「いつ状況が好転するのか」というのは誰にもわかりません。

好転する状況が見えず、ズルズルと損失を抱え、買い増すという状態になると、そのたびに損失の軽減はできるものの、総合的な損失は大きくなってしまいます。

所有するポジション量が増えると、含み損もまた大きくなってしまうことから、結果として塩漬けしなければいけないような損失を抱えてしまうことがありますので注意しましょう。

そうした事態に陥らないためにも、「通貨の価格が80円未満になったら、強制的に約定して損切りをしよう」など、出口戦略も考えておく必要があります。

また、ナンピンという戦術自体、FX初心者には使いにくいというデメリットもあります。

ナンピンはどこかで状況が好転するのを前提とした戦術であることから、好転せずにズルズルと悪くなっていく状況には弱いです。そのためナンピンをするときは「相場を読む力」が求められます。

FXトレードの経験がそれなりにあるトレーダーであれば、肌間隔で相場の流れを理解できたり、さまざまなテクニカル指標を駆使して相場を読むことは可能でしょう。ですがFX初心者の場合、そうした相場を読む力を身に付けている途中であるため、経験者よりも相場を読む力が劣っているケースがほとんどです。

その結果、ズルズルと含み損を増やしてしまい、大きな損失を抱えてしまうことになるのです。

まとめ

逆張り戦術であるナンピンは、価格が下がったときに買いポジションを買い増すなどして、損失を軽減しつつ運用するという性質から、長期的な視点でのトレードには適しています。損失を軽減しつつ粘り、事態が好転するの待って一気に仕掛け、多大な利益を得るのがナンピンの魅力です。

ただし、ギリギリまで粘れる分、相場の流れを見誤ると多大な損失を受けるといったデメリットもあります。

そのためナンピンをする際は、損切りするラインを決めてから行うほうが安全です。

どのような取引方法にも言えることですが、100%利益を得られるといった戦術はありません。

状況を見つつ適切な対応をしていくようにしましょう。

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