
海外、国内問わず、FX業者を選択する際、スプレッドの狭さを重視するという方は多いのではないでしょうか。
スプレッドの幅はトレーダーにとって実質の手数料となるため、できるだけ狭いスプレッドでトレードしたいと考えるのは当然のことでしょう。
目次
海外FXのスプレッドの特徴は?
海外FX業者では、スプレッドに対して3つの特徴があります。それぞれ順に見ていきましょう。
①海外FX業者のスプレッドは国内業者に比べて広い傾向にある
海外FX業者のスプレッドは国内業者に比べて広い傾向にあります。これは海外FX業者全般に言えることです。
下の表は、大手国内FX業者のGMOクリック証券と、大手海外FX業者のXM Tradingのスプレッドを比較したものです。
通貨ペア/FX業者 | 国内FX業者(GMOクリック証券 | 海外FX業者(XM Trading) |
---|---|---|
ドル円 | 0.2 pips | 1.6 pips |
ユーロ円 | 0.5 pips | 2.5 pips |
ユーロドル | 0.4 pips | 1.6 pips |
ポンド円 | 1.0 pips | 3.5 pips |
海外FX業者のスプレッドの方が、明らかに広い傾向にあることが分かります。
この理由は国内FX業者と海外FX業者で仕組みが異なるためです。
国内FX業者⇒DD取引を採用
DD取引では、FX業者とトレーダーが1対1で取引を行います。そのため、カバー銀行にトレードをすべて流すわけでなく、注文の一部を業者が呑むことになります。
注文を呑む割合は業者によって異なりますが、その割合が高ければ高いほどスプレッドを抑えられることができます。
海外FX業者⇒NDD取引を採用
多くの海外FX業者は、インターバンク市場で投資家の注文を流す役割を果たします。その際の費用が高くなってしまい、スプレッドを安くできないというわけです。
②海外FX業者は変動スプレッド
そもそもスプレッドというのは変動する可能性のあるものです。これまで0.5pipsでトレードできていたのに、相場次第では急に1.0pipsにスプレッドが広がったりすることも珍しくありません。
国内FX業者⇒原則固定スプレッド
ただし、国内FX業者では「原則固定スプレッド」が採用されています。原則固定とは、基本的には同じスプレッドの幅が続くということを意味します。
GMOクリック証券のドル円であれば、相場の急変などよほどのことがない限りは0.2pipsのスプレッド幅が継続されることになります。
海外FX業者⇒変動スプレッド
一方で、海外FX業者では変動スプレッドが一般的です。変動スプレッドの場合は、相場の急変時だけでなく常にスプレッドの幅が変動します。
海外FX業者の場合、複数のプロバイダーからレートの提供を受けて、その中から取引価格の提示を行うだけに過ぎないからです。
提供を受けた価格からトレーダーにとって有利な取引価格を示す、いわゆる仲介者であるため、自由にスプレッドを設定することができないというわけです。
③スプレッドの狭い海外FX業者では取引手数料がかかる
スプレッドの広い傾向のある海外FX業者ですが、中にはスプレッドの狭いFX業者も存在します。
下の表にはスプレッドの狭い海外業者の口座として、XMのZero口座、LAND-FXのECN、Tick millのPro口座を取り上げています。
取引通貨名 | XM(Zero口座) | LAND-FX(ECN) | Tick mill (Pro) |
ドル/円 | 0.1 pips (1.0) | 0.3 pips (0.7) | 0.2 pips (0.4) |
ユーロ/円 | 0.6 pips (1.0) | 0.6 pips (0.7) | 0.7 pips (0.4) |
ユーロ/ドル | 0.1 pips (1.0) | 0.1 pips (0.7) | 0.2 pips (0.4) |
ポンド/ドル | 0.3 pips (1.0) | 0.8 pips (0.7) | 0.8 pips (0.4) |
平均スプレッドを見ると0.1pipsの口座もあり、国内FX業者と比べて遜色ないどころか、国内FX業者よりも低い水準を実現しています。
しかし、表のカッコ内に注目してください。XMでは1.0、LAND-FXでは0.7、Tick millでは0.4という数値が入力されています。
これらの数値は往復の取引手数料を表します。そのため、エントリーから決済まで行ったとき、実質のスプレッドは()内の数値が加算されることになります。
例えば、XMのZero口座で1lotのトレードを行ったとしましょう。そのときかかる手数料について計算してみます。
(スプレッド0.1 pips+往復手数料1.0 pips)×2 lot=2.2 pips
実質のスプレッドは1 lotあたり1.1pipsとなり、やはり国内FX業者と比較すると高くなってしまいます。
スプレッドゼロと謳っているFX業者であっても、大抵の場合は取引手数料がかかることがあります。各社の公式サイトをしっかりとチェックしておきましょう。
海外FX業者のスプレッドを比較する方法
前述のように、海外FX業者では変動スプレッドが採用されています。このため、スプレッドの比較をどのようにすれば良いのか迷う人も多いようです。
国内FX業者であれば、公表しているスプレッドを確認するだけでOKですが、変動スプレッドの場合、どのタイミングで比較してよいのか分かりにくいものです。
リアルタイムのスプレッドを比較
海外FX業者のスプレッドは常に変動するため、同じ時点でのスプレッドを比較するとより参考になる情報を得られるでしょう。
同時点であれば、FX業者が異なっていたとしても、為替市場自体はまったく同じものです。同じ環境でのスプレッドを比較するというのは合理的だと言えるでしょう。
ただし相場とは関係なく、たまたまそのときスプレッドが狭かったり広かったりするときがあります。そのため、リアルタイムのスプレッドをチェックするだけでは、十分な比較ができないと考えてよいでしょう。
平均スプレッドを比較
より正確なスプレッドを知りたい場合、過去1週間など、ある一定期間の平均スプレッドを比較するとよいでしょう。
FX業者によってはXMのように、最小スプレッドや平均スプレッドを表記している場合があります。
特に平均スプレッドでは、期間全体のスプレッドが狭いFX業者を見つけることができるので、比較の際には役立つでしょう。
海外FX業者はスプレッドが広いけども・・・
スプレッドが広いこと自体は、FX取引において大きなデメリットになってしまいます。取引コストがかさんでしまうため、取引を繰り返せば繰り返すほどスプレッドの広さから発生する負担が増えてしまうことは事実です。
デイトレードやスキャルピングには向いていない?
1日に何度も売買を繰り返すデイトレードやスキャルピングでは、スプレッドが大きな負担となってしまいます。
実質のスプレッドが1.0程度ならまだしも、スプレッドや取引手数料の高いFX業者では、利益がスプレッドのコストによって相殺されてしまいがちです。
しかし、海外FXでは国内FXにはない圧倒的なハイレバレッジトレードが可能です。400倍や500倍のレバレッジサイズは当たり前で、FX業者によっては1,000倍を超えるレバレッジをかけることも可能です。
このことは何を意味するかというと、期待損益の幅を広くできるということです。スプレッドの広さによって取引1回あたりのコストが多少増えても気にならなくなるでしょう。さらに、ボーナスが充実していることも、期待損益の幅を広くできることに貢献します。
また、インターバンク市場と直接取引ができる海外FX業者では、国内業者に比べると約定力が高い傾向にあります。注文のズレや発注できない事態が少なく、繊細なトレードが求められる短期売買においては有利に働くはずです。
まとめ
今回は海外FX業者のスプレッドについて紹介しました。国内業者に比べれば、海外FX業者のスプレッドは広く、そのこと自体は海外FX業者を利用する際のマイナスポイントと言えます。
できるだけスプレッドの狭いFX業者を見つけるため、比較サイトや公式サイトで平均スプレッドを確認したり、リアルタイムのスプレッドを比べてみたりすると良いでしょう。
一方で、海外FX業者ならではのメリットがあることも事実です。特に約定力の高さは、スプレッドが広いからこそ実現できる大きな特長でもあります。スプレッドだけでなく、総合的に判断してFX業者を選ぶ必要があるでしょう。