バイナリーオプションにダウ理論はマッチするのか?

投資を行っている方の中には「ダウ理論」という言葉を知っている人もいるかもしれません。株やFXなどの取引においてはよく耳にするこの単語ですが、バイナリーオプションにも適応できると言われています。しかしダウ理論を知らない人にとっては、「どのように作用する理論なのか?」「本当に適応できるのか?」よくわからないことも多いのではないでしょうか。

今回は、ダウ理論をバイナリーオプションで使うときに、何を読み取れて、何までは分からないのかを整理します。上昇トレンドの判断と、決められた判定時刻に勝つことは同じではありません。実際の勝率を検証した記事ではなく、理論の読み方と架空の価格例による解説です。

ダウ理論とは?

ダウ理論は、チャールズ・ダウとその後継者の考えをもとに整理された相場分析の枠組みです。株価指数の動きから大きなトレンドを捉える考え方として知られています。

ただし、日経平均株価そのものをダウが作ったわけではありません。日経平均は1950年に東京証券取引所が算出を始めた指数で、その後、日経がダウ方式の名称・計算に関する契約を結んだ歴史があります。指数の計算方法と、トレンドを読むダウ理論は分けて考えましょう。

ダウ理論は一般に、次の6つの原則として説明されます。価格が理論に従って必ず動くという法則ではなく、相場を整理するための考え方です。

ダウ理論の6つの基本原則

では、ダウ理論の6つの基本原則にはどのようなものがあるのでしょうか?

・平均株価は全ての事象を織り込む
・トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される
・主要なトレンドは3つの段階で構成される
・株価平均は相互に確認される必要がある
・トレンドは出来高でも確認されなければならない
・トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する

これらについてさらに深掘りして見ていきます。

平均株価は全ての事象を織り込む

市場の価格形成に影響を与えるさまざまな要因は、平均価格に反映されるという考え方です。たとえば、ファンダメンタルズ要因や、投資家や証券会社などによる株の売買、景気、災害、テロなどの事象をすべて盛り込んだものが平均株価に反映されているということで、価格に表れた反応を観察するという考え方につながります。ただし、将来の発表結果まで既知であるとか、重要な経済指標を確認しなくてよいという意味ではありません。

トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される

大きな方向を示す主要トレンド、その途中の調整を示す二次的な動き、さらに小さな短期の動きに分けて捉えます。主要トレンドが上向きでも、その中に下向きの調整が含まれることがあります。

ここで注意したいのは、日足の大きな流れと、数分後の判定を同じものとして扱わないことです。短期・中期・長期を何本の足で判定するかを後から変えると、都合のよい説明を作れてしまいます。検証では観察する時間足と高値・安値の選び方を先に固定します。

主要なトレンドは3つの段階で構成される

主なトレンドは、先行期、追随期、利食い期に分けられます。先行期は、一部の参加者が市場の変化を先に捉えて動き始める段階として説明されます。最安値で必ず買える、最高値で必ず売れるという意味ではありません。追随期になると先行期の投資家に反応した投資家が動き始め市場全体が連動して動きだします。その結果大きなトレンドが発生します。利食い期ではメディアでも取り上げられたりすることにより初心者や一般投資家も参入します。最初に購入した先行投資家が利確していく段階で、その後トレンド相場やトレンド変換が起き始めます。

ただし、どの段階にいるかは、その場では明確に区別できないことがあります。「追随期だから買えば勝てる」「利食い期だから必ず負ける」とは言えません。特にバイナリーでは、トレンドが続いても判定時刻までの一時的な押しで結果が変わります。

価格は相互に確認される必要がある

元来の考え方は、工業株平均と運輸株平均など、異なる株価平均が互いにトレンドを確認するというものです。一方だけの高値更新を、もう一方が確認できているかを見ます。

これを「ドル円とユーロドルは必ず同じ方向に動く」「関連する通貨ペアがそろわなければトレンドは成立しない」と読み替えるのは誤りです。ドルがペアの左側か右側かでも、上昇・下降の意味は変わります。通貨間の関係を参考にする場合も、元のダウ理論の原則そのものとは区別してください。

トレンドは出来高でも確認されなければならない

価格の方向だけでなく、出来高がその動きを裏付けているかも確認するという考え方です。ただし、出来高が増えなかっただけで、直ちに反転すると決まるわけではありません。

FXチャートでは、表示が実際の取引数量ではなく、一定時間に受信したティックの数である場合があります。MetaTraderの説明でも、ティック出来高と実出来高は区別されています。ティックの増加を、そのまま市場全体の売買金額の増加とみなさないことが大切です。

また、「ダマし」は、突破したように見えた価格が戻る場面などを指す表現です。すべてを大口投資家の買いが原因と決めつけることはできません。

トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する

一度上昇トレンドまたは下降トレンドがスタートすると、その動きは明確な転換シグナルが出るまで継続するという考えがダウ理論では重要とされています。転換シグナルが発生するまではトレンドが継続、高値・安値の切り上げ/切り下げが崩れた時が転換シグナルと捉えられます。
ダウ理論において、上昇トレンドとは、連続した高値と安値が、それ以前の高値と安値よりも切り上がっている状態を言い、下降トレンドとは、連続した高値と安値が、それ以前の高値と安値よりも切り下がっている状態を言います。

たとえば高値が150.20円→150.40円、安値が150.00円→150.10円と切り上がっている架空の場面なら、上向きの構造を整理できます。それでも次の足が必ず上がるわけではありません。どの安値を割れば判断を変えるかも、取引前に決めておきます。

ダウ理論を実践する上での注意点

ダウ理論は現在に至るまで指標とされるほどの有名な理論ではありますが、次のような注意点も存在します。

ファンダメンタルズ分析を必要とするか否か?

「価格に情報が織り込まれる」という考え方から、ニュースや指標発表を無視してよいという結論にはなりません。発表後に新しい情報が加われば、直前までのチャートの形と異なる動きになることがあります。

バイナリーでは、判定までの短い時間に急変があるかどうかが結果に直結します。チャートの形だけでなく、判定時刻と重要な発表が重ならないか、引用レートや判定条件は何かを確認します。

トレンドサインが出るのが少々遅い

ダウ理論は、形成された高値・安値などを確認して判断します。そのため、振り返ったチャートではきれいに見えても、その時点では次の高値・安値が確定していない場合があります。

FXなら保有中の値動きに応じて決済を考えられますが、バイナリーは契約で定める条件と判定時刻が結果を決めます。上昇の方向を捉えたことだけで、決められた時刻の勝敗を説明することはできません。

時点架空のドル円価格150.10円より高いかで判定する場合
購入時150.10円基準となる価格
1分後150.08円この時点では基準より低い
5分後150.18円この時点では基準より高い

同じ一連の値動きでも、1分後と5分後では判定が逆になります。これは特定商品の条件や実績を示したものではありません。同値の扱い、どの価格を参照するか、途中で売却できるかは商品ごとに異なります。

勝率だけでなく払戻額と購入額を分ける

もう一つ見落としたくないのが、勝ったときの払戻額と利益の違いです。購入額1,000円、的中時の払戻総額1,800円、外れた場合の払戻し0円と仮定すると、的中時の純利益は800円、外れた場合の損失は1,000円です。

10回の結果損益の計算合計
5勝5敗5×800円-5×1,000円-1,000円
6勝4敗6×800円-4×1,000円800円

この仮定では、損益分岐となる勝率は1,000÷1,800≒55.56%です。別途の費用・同値・取消しなどは含めていません。実際の商品では条件を読み替えます。ダウ理論を使った場合も、都合のよい勝ち場面だけでなく、同じルールで集めたすべての結果を確認しましょう。

ダウ理論を学ぶには?

ダウ理論を学ぼうとした場合には何がよいのでしょうか?実はダウ理論について記載された書籍はあまり多くありません。ネットには情報がたくさん出ているとはいえ、その信ぴょう性や表現はサイトによって微妙に異なります。じっくり腰を落ち着けて学びたいという人の場合には書籍に勝るものはありませんので、ダウ理論とタイトルにつけられたものをいくつか参照しながら自分に合ったものを選んで学習すると良いでしょう。

ダウ理論は、もともとバイナリーオプション専用の理論ではありません。株やFXのチャートを整理するときにも用いられますが、商品を問わず同じ勝率を得られるという意味ではありません。そのため、投資全般を理解する上でもダウ理論について知っておくべきことはたくさんあります。ぜひこの機会にダウ理論についてしっかり知識を身に付けておきましょう。

学ぶ際は、テクニカル分析の基本とあわせて、高値・安値の定義、観察する時間足、判定時刻、払戻条件を一つずつ書き出すと整理しやすくなります。理論を知ることと、利益が出ることは分けて検証してください。

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